フランスで開発されている、OpenMandriva (以降、OMLx )の最新版となる Lx 4.0 が、2019年6月16日に正式にリリースされた。

OpenMandriva とは?

ヨーロッパで根強い人気の OpenMandriva Lx 4.0 が正式リリース
https://www.openmandriva.org/

名前の中にある Mandriva は、かつて存在していた Linux ディストリビューション(以降、ディストロ)のひとつ。

もともとはフランスの Mandriva 社 (旧 MandrakeSoft ) が開発していた Mandrakelinux が起源となる。

同社は紆余曲折あり、最終的に2015年5月に倒産し、開発も事実上終了した。

OMLx は OpenMandriva Association が主催するフル機能の Linux で、 Mandriva Linux から派生した、忘れ形見ともいうべきディストロ。

さらにさかのぼると、源流は Red Hat Linux となり、パッケージ管理が RPM というのはその名残といえよう。

ちなみに Mageia と PCLinuxOS 、さらにロシアで開発されている商用の ROSA はルーツを同じくする兄弟派生ディストロ。

今回の変更点は?

このバージョンでは、Linux カーネル5.1.9、Plasma 15.5.5、LibreOffice 6.2.4、最新バージョンの Calamares インストーラなど、非常にたくさんの改良点が紹介されている。

さらに詳しく▶ https://openmandriva.org/en/news/article/the-best-until-openmandriva-does-better-released-omlx-4-0

OpenMandriva の概要

  • ベース: 独立
  • アーキテクチャ: i686, x86_64
  • デスクトップ環境: KDE
  • パッケージ形式: RPM

OpenMandriva をインストールするのに必要なスペックは?

  • CPU: x86_64
  • RAM: 1GB (2GB以上推奨) ※ライブモードを起動する場合 1.5 GB 以上
  • DISK: 10 GB 以上

主なアプリケーション

  • ブラウザ: Falkon
  • メール: KMail
  • オフィス: LibreOffice
  • グラフィック: Krita
  • ミュージック: Elisa
  • マルチメディア: SMPlayer, VLC media player

より詳しい情報は
https://openmandriva.org/en/documentation/openmandriva-lx/article/quick-start


個人的な意見ですが、

可もなく、不可もないが…

以前にもベータ版を紹介した際に

決して悪いディストロというわけではないけれども、「なんでもあり」な「可もなく不可もない」がゆえ、代替えされやすいのかもしれない。

と紹介した。

特に東アジア圏においては、その傾向が余計に強くなっていると感じる。というのも、表示言語は対応していたとしても、入力関連の設定については未だ手直しが必要になる。Ubuntu 系をはじめとするディストロや、OpenMandriva の源流とも言える RPM 系の Fedora はインストール直後から入力環境も整っており設定する必要がない。

ヨーロッパで根強い人気の OpenMandriva Lx 4.0 が正式リリース
日本語表示はできたけれども、僕には日本語”入力”がうまく設定できません(涙

Linux 初心者やライトユーザーだと、このように環境が整っていない OpenMadriva の使い所に困ってしまうと思われる。

東アジア圏のユーザーであれば、同じ Mandriva からのフォークだったら Magia の方が使いやすいかもしれない。

ヨーロッパでは未だ根強い人気

Linux 開発の盛んなヨーロッパでは、たくさんのディストロが存在するけれども、それぞれに根強いファンが存在する。この OpenMandriva もそのひとつ。

元々は商用 Linux がベースとなっているだけあって、見た目や操作性、安定性といったところが重視されていた。しかし、今回のリリース内容を見てみると最新カーネルを採用したり、LibreOffice も最新版を採用したりと革新性が優先されたように感じる。

ROSA Linux との関係性

ロシアで開発されている ROSA Linux もまた、同系列の Linux である。詳しい内容は異なるが、イメージとしては Red Hat Enterprise Linux と CentOS (Fedora かな?) に似た関係性。そのため、アプリケーションの中には “ROSA” の名前がついたものがいくつか存在する。ROSA もまた東アジア人向けではないように感じることを付け加えておく。

それでも開発が続けられている理由

これは僕の憶測になるけれども、Mandriva という名前を残したい熱心な開発者が開発を続けているのだろう。同じフランスで開発されている Magia も Mandriva のフォークではあるものの、すでに名前は別物になっている。コミュニティの開発コンセプトである、正直なところどこのコミュニティとも大差はない。またフランスには大小 20 以上の Linux 開発コミュニティが存在する。それでも OpenMandriva の開発が続けられる理由とすれば「名前を残したいから」と考えてしまう。

まとめ

東アジア人にはそれほどメリットの大きい Linux ディストリビューションではないけれども、熱い情熱を持ったスタッフが開発を続けている発展、平等、協力、開放性、自由、集団的達成、独立性、そして連帯の Linux が OpenMandriva である。

OpenMandriva に興味を持ったアナタは、下の URL を今すぐクリック!OpenMandriva をダウンロードする▶ https://openmandriva.org/en/documentation/openmandriva-lx/download